学位取得後の研究

「楽しく学び続けられる環境を整えるために、私たちに何ができるのか?」

これは日々、自分に問いかけている研究の問題意識です。

学ぶことは楽しい。つらさや苦しみがあっても、学んだ先に見える景色は新しくて誇らしい。そうした体験をひとりでも多くの人と共有したい。

そのために私は、「学び方のデザイン」というまなざしで、学び手に寄り添う研究を送り出していきたいと思います。

教員によるゼミナールの構成と学生の学びに関する調査

ゼミナールという「少人数での共同体的な学習環境」に惹きつけられ、2010年度から研究をスタートさせました。

よりよいゼミのあり方を探して、試行錯誤を繰り返す教員の方々。自分自身と向き合い、他のゼミ生や教員とのかかわりの中で飛躍する学生たち。

調べ尽くせないほど多くの要素が、複雑に相互し合う有機的な学び場を、さまざまな手法で探究していきたいと思っています。

主な業績(書籍・学術雑誌論文)

書籍

  • 伏木田稚子 (2021) ゼミナールにおける汎用的技能の習得-探究に基づく共同体的な学習環境の価値-. 風間書房, 東京伏木田稚子 (2020) 第6章 ゼミナール教育. 村上正行, 田口真奈 (編) 教育工学における大学教育研究. ミネルヴァ書房, 京都, pp.81-92.

学術雑誌論文(査読あり・第一著者)

  • 伏木田稚子 (2021) ゼミナールの実践上の困難と価値に対する自己評価の検討-人文学・社会科学・総合科学系学部の教員調査に基づいて-. 日本教育工学会論文誌, Vol.45, Suppl., pp.213-216.
  • 伏木田稚子 (2021) 教員からみた学部ゼミナールの授業外活動が有する価値の検討-人文学・社会科学・総合科学に着目して-. 日本教育工学会論文誌, Vol.44, Suppl., pp.161-164.
  • 伏木田稚子 (2020) 学部ゼミナールの授業外活動における他者とのかかわりと苦労や困難に関する一考察. 日本教育工学会論文誌, Vol.43, Suppl., pp.165-168.
  • 伏木田稚子, 北村 智, 山内祐平 (2014) 学部ゼミナールの授業構成が学生の汎用的技能の成長実感に与える影響. 日本教育工学会論文誌, Vol.37, No.4, pp.419-433.
  • 伏木田稚子, 北村 智, 山内祐平 (2013) 教員による学部ゼミナールの授業構成-学生の特性把握・目標の設定・活動と指導-. 名古屋高等教育研究, 第13号. pp.143-162.
  • 伏木田稚子, 北村 智, 山内祐平 (2013) テキストマイニングによる学部ゼミナールの魅力・不満の検討. 日本教育工学会論文誌, Vol.36, Suppl., pp.165-168.
  • 伏木田稚子, 北村 智, 山内祐平 (2011) 学部3,4年生を対象としたゼミナールにおける学習者要因・学習環境・学習成果の関係. 日本教育工学会論文誌, Vol.35, No.3, pp.157-168.

その他のゼミナールに関する研究はこちら(CiNii Research検索結果:外部リンク)


知の探究を目的とする反転授業の実践と評価

反転授業を研究し始めたきっかけは、2014年度に東京大学教養学部で開講された、全学自由研究ゼミナール「Visualizing Tokyo(東京を可視化する)」です。

この授業の目標は、都市と視覚文化の関係や変化について、理論と実践の両面から探索すること。そのために、MOOCの動画視聴を中心とした事前学習と、チームでの映像制作による対面学習が巧みに組み合わされていました。

実践をサポートしながら、教員や学生のひたむきな取り組みを参与観察できた経験は、反転授業の研究を続ける道標となっています。

[参考]Visualizing Tokyo(東京を可視化する)授業案内

2018年度にはじまった共同研究では、統計教育の中で反転授業を実践しています。

推測統計の考え方や基礎知識を理解し、実データを分析する。知識を身につけて活用する楽しさを、「統計はなんとなく苦手…」という学生に体験してほしい。けれども、事前の動画視聴を強制したくない。

そこで、はじめに探索的な問題解決を行う。すると学生は、自分が何をどこまで知っているかを自覚し、動画視聴の必要性や価値に気がつく。結果として能動的な学習が促されると考え、これを「認識的準備活動(EPA)」と定義しました。

実践では、共同研究者が開発した統計ゲームをEPAに用いています。個人と協調(3~4名のグループ)のどちらがより効果的か。学習内容に対する心理的価値に、EPAはどのような影響を与えるのか。 追究したい問いは、今も尽きません。

[参考]認識的準備活動を導入した統計の基礎を扱う反転授業の実践と評価(伏木田・大浦・吉川 2021)の概要

主な業績(書籍・学術雑誌論文)

書籍

  • 伏木田稚子 (2017) 13 大学1・2 年生を対象とした高次能力学習型の反転授業の実践:東京大学 集中講義「Visualizing Tokyo」を事例として. 森朋子, 溝上慎一 (編) アクティブラーニング型授業としての反転授業[実践編]. ナカニシヤ出版, 京都, pp.151-162
  • 山内祐平, 大浦弘樹, 安斎勇樹, 伏木田稚子 (2015) 序文.ジョナサン・バーグマン・アーロン・サムズ (著) 反転学習. オデッセイコミュニケーションズ, 東京, pp.3-12

学術雑誌論文(査読あり・第一著者)

国際学会での発表(査読あり・第一著者)

  • Fushikida, W., Oura, H. & Yoshikawa, R. (2019) Effects of Epistemic Preparative Activities on Students’ Understanding in A Flipped Classroom. Short Paper presented at 13th Multi Conference on Computer Science and Information Systems, Conference Sessions: e-Learning 2019: Porto, 2019.07.16 – 2019.07.19
  • Fushikida, W., Oura, H., Yamamoto, R. & Yamauchi, Y. (2018) Role of Video Lectures in A Flipped Classroom: How Is Knowledge Applied in Collaborative Learning? In T. Bastiaens, J. Van Braak, M. Brown, L. Cantoni, M. Castro, R. Christensen, G. Davidson-Shivers, K. DePryck, M. Ebner, M. Fominykh, C. Fulford, S. Hatzipanagos, G. Knezek, K. Kreijns, G. Marks, E. Sointu, E. Korsgaard Sorensen, J. Viteli, J. Voogt, P. Weber, E. Weippl & O. Zawacki-Richter (Eds.), Proceedings of EdMedia: World Conference on Educational Media and Technology (pp. 985-997). Amsterdam, Netherlands: Association for the Advancement of Computing in Education (AACE). Retrieved December 14, 2018 from https://www.learntechlib.org/primary/p/184303/.

その他の反転授業に関する研究はこちら(CiNii Research検索結果:外部リンク)


大学生・大学院生・シニア世代に対する情報リテラシ―教育の実践

学部1年生を主とする大学生を対象に、2015年度から情報リテラシー教育のあり方を模索しています。2019年度には50歳以上のシニア世代、2022年度には大学院生へと、視野を広げてきました。

情報とそれにかかわるツールを理解し、主体的に活用できる力をどのように身につければよいのか。 情報リテラシー科目や情報科指導法のシラバス分析、シニア世代のコンピュータ利活用に関する調査、プレゼンテーション教育の実践などを通じて、この大きな問いへの答えを探し続けていきます。

主な業績(書籍・学術雑誌論文)

学術雑誌論文(査読あり・第一著者)