「伝えること」を学ぶ価値
2022年9月から2023年2月までの半年間、日本科学ジャーナリスト塾(JASTJ)を受講した。
一石二鳥を凌駕する、しんどくも最高に楽しい半年間のふり返りを、ここに記録しておく。
遡ること1年ほど前、2021年の12月と2022年の1月に、それぞれ違う内容でインタビューをしていただいた。
あまりにうまく答えられなくて歯がゆい思いでいっぱいになり、どうにかしたいと思った。
質問に対して自分が考えているたくさんのことのうち、何を、どの順番で、どういう言葉で話すのか。
伝え方を磨かなければと、切に焦った。
その数か月後の2022年5月、新しく大学院生向けの全学キャリア科目を担当しはじめた。
自分の研究分野を知らない人に、研究の魅力や新しさをどう伝えるのがよいか。
異分野融合の視点でアカデミック・プレゼンテーションを行ってみましょうという、とても心が弾む内容だ。
けれども、わたしで大丈夫なのか、実のある授業を展開できるのかと、自信もなく不安も尽きなかった。
ちょうどその頃、知り合いの先生が大学院生に紹介していた「日本科学ジャーナリスト塾(JASTJ)」を知った。
これなのでは!と勢いだけで飛び込み、半年間、伝えることの責任と作法について学んだ。
第20期のJASTJでは7つほどのトピックが用意され、対面、オンデマンド、リアルタイムオンライン、宿題が絶妙に組み合わされていた。
まず、あるトピックについて講義動画2本を視聴し、講師への質問と感想をオンラインフォームに書き込む。
翌週にZoomで1時間半、講師や受講生とディスカッションをする。
その間に月に1回程度、文章を書く宿題があり、メンター(ジャーナリスト)が細やかな指摘をしてくださった。
最終ゴールは、取材をして記事を書くという作品制作であり、メンターに相談しながら仕上げていく。
文字にするとあっさりしているように感じるが、それはもう、頭が沸騰するほど楽しかった。
自分の中でふつふつと、なんて面白いんだろう!という高揚感が弾けては生まれた。
目から鱗が落ちるとはこのことか、という発見は尽きなかった。
学び手として学ぶ醍醐味を味わうことができたのは、しあわせな経験だったと真に感謝したい。
なお、せっかくならいろいろな機会と経験をつなごうと思い、作品のテーマは取り組んでいる個人研究に重ねた。
そうすることで、論文や学会発表とは違う観点で研究を伝えるという、大学院授業の方針を自身で体感できた。
そして、もっとよい表現をしたいという気持ちが高まり、一石五鳥ぐらいの価値をいただいたと感じてる。
▼JASTJに提出した作品はこちら
書くことと話すこと、これからも迷って悩んでを繰り返しながら、その時々の最良を磨いていきたい。